大学王座
2013.10.31 Thursday
有明につくと、本部の場所は中央区の大会と同じ場所だった。
国際展示場駅から東関道の上を、歩道橋で超える。
日本最大のテニスコートに向かうこの瞬間は、いつも身が引き締まる思いだった。
会場に着くと既にオーダー交換を終えた各大学の選手たちが、足早に自分の荷物を取りに向かっていた。
男女の各決勝と、3位決定戦の4試合が10面進行で行われる。
男子決勝は、伝統の早慶戦。
早稲田は男女でのアベック優勝8連覇がかかっていた。
先に述べておくと、私はダブルスの試合の序盤しか見ていない。
だからあまり技術的なことを大観的に書くのは適切ではないと思うが、
いくつか感じることをつらつらと書いていこうと思う。
先のデ杯で日本のダブルスペアの戦いに多くの方が失望したように、今日もやはり・・・と思うシーンがいくつもあった。
全ての選手が後ろからストロークを叩き、それにボレーヤーはネットプレーで対抗できない。
何度か良いプレーはあるものの、このままだと確かに勝つ為にはなるべくネットに出ないほうが良いのではと思ってしまう。
それくらい、ストローク力が特出しているのか、ネットプレーが酷いのか。
ともかく皆が似たプレースタイルに思えてならない。
知らない選手も何人かいたので、ネット上で調べてみた。
恐らくテニスの強豪校では無いところから入った生徒、生え抜きの生徒、強豪校から別々の大学に進学し、今ネットを隔てて相対している生徒・・・皆、様々だ。
そんな人間模様、テニスのバックグランウドを、誰か伝える人はいないものだろうか。
先日TVで横浜高校の甲子園の試合にて、試合の速報を送る生徒(OBかも知れないが)が紹介されていた。
とにかく細かく何回も更新して、試合を観に来れない多くの方にメッセージを届けていた。
全日本学生テニス連盟の運営に文句を言うつもりは無いが、本部前でスマートフォンをいじって暇そうにしているスタッフを観ると、何か工夫できないものかと考えてしまう。
ただ観客も少ない、身内感たっぷりのこの大会を緊張感を持って運営するのは難しいだろう。
必要性を感じなければ、何も変わらない。これが自明の理である。
試合自体は男子は早稲田が早々に決着し、女子決勝はダブルスが1-1のタイになったものの、シングルスで早稲田が押し切った。
これで男女の王座の椅子に、8年連続で早稲田が座ることとなった。
その椅子の座り心地はどうなんだろうか。
彼らの多くはプロを諦め、社会人としての道を進む。
インカレを個人で3連覇した田川選手も、きっぱりプロへの道を諦めている。
社会人に進んでも、対戦相手は小学校のころからとほとんど変わらない。
それは果たして、王者の進むべき道なのだろうか・・・。
最後に一つだけ、提案してみたいことがある。
早稲田の男子ダブルスNo.1の田川・遠藤組を、日本のデ杯ダブルスの候補として
徹底的に強化してみてはどうだろうか。
2人とも、遠巻きに見れば高校生のような体格だが、足が速くテクニックもある。
パワーでは圧倒されるかも知れないが、それこそWBCで魅せたスモールベースボールのようなテニスが、世界を相手にできるかも知れない。
難しいのは百も承知だが、彼らに昨日以上の団体戦での真剣勝負の場が、未来に控えているとは到底思えないのである。
正午前に、その男子ダブルスNo.1の試合を観て、有明を後にした。
このテニスの森公園も、あと2年でリニューアルされる。
大学テニスだけの問題では無い。
テニスには一度、全てをリセットするかの如く、リニューアルが求められている。
ドラフト会議
2013.10.25 Friday
今年も、プロ野球のドラフトが終わった。
各選手、球団も悲喜交々、色々なドラマがあったに違いない。
但しそれは、昨日一日のこと。
明日からはまた新しい門出となる。
それは選ばれなかった選手も同じ。
よくドラフトで指名された選手をみなで担ぎ上げる絵を見かけるが、その担ぎ手の中にはプロ志望届を出して待っていた選手も多いだろう。
この感情を、是非次のステージにぶつけてもらいたい。
あえて言うなれば、そのドラフトが成功かどうかはすぐには分からない。
ドラフト1位で一軍に上がれずユニフォームを脱ぐ選手も多い。
30過ぎてから大成する選手もいる。
私も野村克也元監督の書籍を読む機会が多いけれど、こんなことが書いてあったのを思い出す。
「高卒の前田智徳が練習試合に出てきたときはショックだった。なんでうちのスカウトはこの選手をリストアップしなかったのか・・・と。」
その想いを、スカウトはしっかり受け止める。
「打撃に目をつむれば・・・」
という一文を添えて、古田と宮本を推薦した。
そこに脇役というエッセンスを加えて、その後の2人の活躍はここで言うまでもない。
もう一つ、野球というスポーツに感じるのはその草の根の深さ。
私達世代だけかも知れないが、少年時代の休み時間の遊びはとにかく野球だった。
人が足りない、場所が無い、そんなことは何とかなる。
木の棒にテニスボール、マンホールをベースに、足りない人数は透明ランナー制度で補う。
そんなに工夫してでも、野球がしたかった。
それが実際の実力勝負になると、このドラフト指名約80人にまで絞られる。
しかし、その80人に携わってきた人は、数千人、数万人・・・もっと言うと、野球界全体である。
その意識を、是非指名された選手には忘れないでいてもらいたい。
あのアトランタオリンピック、サッカー五輪代表を実況した山本アナの言葉が思い出される。
「今、ピッチに立っている選手は、彼らではありません。私たちそのものです。」
侍JAPANも良いけど、それより前に、プロ野球選手は皆の代表。
厳しい競争と熱い試合を、しっかりとファンに見せて欲しい。
統計学
2013.10.22 Tuesday
「統計学が最強の学問である」
この書籍を最近よく見る。
テニスもそうだけど、何でも数字は大事。
だけどこの当たり前のことが、意外と意識できていない人が多い。
例えばサーブのコース。
中級者レベルでは、セカンドサーブはもちろんファーストサーブも、コースが限定される場合が多い。
とりあえず、入れてから勝負、みたいな。
計算しなくても、確率はすぐに分かる。
だけれども、リターンのポジションを替えない。その理由は何だろう。
リターンの位置は、決められてはいない。
いや、リターンだけじゃなく、テニスはオフサイドみたいなポジションペナルティもないし、どんどん相手に応じて変えて良いスポーツだ。
そこで大事なのは、FACT=事実。
事実の積み重ね=統計学。
これが感覚的に捉えられて実践できるようになるには、経験が必要。
ただ、たくさんテニスを練習すれば良い訳ではなく、事実を統計にのせて答えを導き出すことが大切。
こんな戦略家は、実はベテランのアマチュアプレイヤーに多い。
まだまだ、日本のテニスは面白いと思う。
この書籍を最近よく見る。
テニスもそうだけど、何でも数字は大事。
だけどこの当たり前のことが、意外と意識できていない人が多い。
例えばサーブのコース。
中級者レベルでは、セカンドサーブはもちろんファーストサーブも、コースが限定される場合が多い。
とりあえず、入れてから勝負、みたいな。
計算しなくても、確率はすぐに分かる。
だけれども、リターンのポジションを替えない。その理由は何だろう。
リターンの位置は、決められてはいない。
いや、リターンだけじゃなく、テニスはオフサイドみたいなポジションペナルティもないし、どんどん相手に応じて変えて良いスポーツだ。
そこで大事なのは、FACT=事実。
事実の積み重ね=統計学。
これが感覚的に捉えられて実践できるようになるには、経験が必要。
ただ、たくさんテニスを練習すれば良い訳ではなく、事実を統計にのせて答えを導き出すことが大切。
こんな戦略家は、実はベテランのアマチュアプレイヤーに多い。
まだまだ、日本のテニスは面白いと思う。
見えざる手
2013.10.21 Monday
今年のプロ野球も佳境に入ってきた。
残念ながら応援するカープは敗退してしまったけど、シーズンを負け越した中で得たこの経験は来年に活かされるはず。
何より数十年ぶりに沸いた広島。
やっぱりクライマックスシリーズって、夢見れるよね。
広島県民の誰もがそう感じたのかも知れない。
ただ、プロスポーツというのは残酷な世界である。
「弱いチームにもチャンスを」
「消化試合をできるだけ減らそう」
という御旗の元に進められたCSだが、本当にそれが実行できるのだろうか?
対戦カードのホームゲームは全て上位チームで、興行収入は1日数億円。
それもセカンドステージより、ファイナルステージのほうが試合数が多い。
そこでしっかり「1勝のアドバンテージ」は付いている。
ホームゲームで勝ち進んで、来年の強化費用までしっかり稼ぐ。
当たり前だけど、ルールを作る側に立っているチームはますます肥えていく。
色々な意見があって良い。
メジャーリーグのように3位以下のチームっは勝率が良いチームを両リーグから選抜する、という案も有効だろう。
あるいはリーグの仕組みそのものを、1リーグ制にという案も出てくるかも知れない。
だがこれらを議論のテーブルに上げるのには、一つ足りないことがある。
「プロ野球は、誰の為に、どこに向かうのか・・・」
この根本的な議論をし尽くさない限り、いつまでたっても新聞社の購読部数を上げる興業にしか成り得ない。
それで良い、というのであれば構わないのだけれども、一つの文化として寂しくはないだろうか。
過去にストライキ問題もあり、灯を消さないできたプロ野球。
来年にはまた多くの選手がメジャーに挑戦していくだろう。
それが挑戦なのか、何なのか。
真摯に向き合い、未来を見つめていかなければ、道は拓かれない。
テニス界が抱える課題も同じ。
動かねば・・・動きます。
天才の一手
2013.10.17 Thursday
将棋のことはあまり詳しくは分からないけど、なぜか羽生さんの対局はつい見てしまう。
テレビでの対局だけど、その解説がまた面白い。
「まさに天才の一手ですね」
そう解説者が唸るのが、面白く感じて仕方なかった。
将棋には、まさにその一手が存在する。
試合の全てを変えていく、一手が…。
いつの試合だったか。
テニスでもそんな一手をたくさん見てきた。
試合を大きく動かすポイントは、実は相手を追い詰めるような攻めではない。
むしろ、自滅、と言ったほうが正確かも知れない。
それは、「相手を楽にさせるポイント」である。
特に実力で上回る選手が苦しんでいるときに、ふとしたポイントで相手が変なポイントの落とし方をする。
得てしてそういう時に、試合の流れは大きく動いていく。
将棋の対局だと、終わった後に試合のポイント、勝負の分かれ目を話し合う時間がある。
テニスの一般の大会、試合では、是非これをやって欲しい。
相手から得るもの、試合の流れを省みて得るものは、本当に大きい。
これこそまさに、テニスならではの醍醐味だと思うのだが。
習い事
2013.10.10 Thursday
たまに、自分がレッスンを受けたり指導したりするのではなく、テニススクールの上からレッスンをぽかーんと眺める機会がある。
そうすると、色々なことが見えてくる。
テニススクールという場所は、不思議だ。
いや、大人になってから習い事に行ったことが無いので、何をもって不思議かも分からないのだけれど・・・。
受講している生徒の目的が、本当に人それぞれ違う。
健康志向の人、人と接することで楽しい人、試合に勝ちたい人、何かにチャレンジしたい人・・・ただ一つ明確なのは、「テニスが上手くなりたい」と、皆が思っていることかも知れない。
その強さが、人それぞれ違うのだ。
そんなこと、英会話だってお料理教室だって、ある問題。
でもテニスでなぜそれが問題なのか・・・それは、テニス特有の集団での上達の弊害部分があると思う。
テニスは相手とネットを挟んでラリーをすることで、基本的な練習が行われる。
そのラリーの質、即ちそのレッスン生の実力や意識に、成長速度が大きく関わってくる。
英会話スクールは、それに近いかも知れない。
会話する相手が上達しなければ、いつまで経っても生徒同士でレベルアップしていかない。
テニススクールでも、ほとんどのラリーは生徒同士で行われる。
この雰囲気作りに大切なのは、やはりコーチの力量。
このコーディネートができるコーチが、日本には少ない。
海外とのスポーツ指導者の実力差は、実はこの部分が一番大きいような気がしている。
今、日本のテニス界が掲げている 「PLAY & STAY」
STAYしてもらえるかどうかは、本当に環境次第。
だからこそ、テニススクールに頼ってはいけない。甘えてはいけない。
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